陳情第5-1号「有機フッ素化合物(PFAS)汚染の血液検査の実施を求める陳情」について、グリーンな国分寺は、賛成の立場で討論します。
多摩地域で市民団体によって実施されたPFASの血中濃度検査では、検査を受けた多数の国分寺市民からPFASが高濃度で検出され、発がん性や乳児・胎児への成長阻害など、様々な健康被害が懸念されているところです。生きるために必要な水の問題だからこそ、PFASの対策は誰しもがアクセスしやすい体制づくりが欠かせません。
陳情事項の一つ目は、多摩地域の住民を中心にPFAS血中濃度の検査を保険診療で受けられるよう、国と東京都に意見書の提出を求めているものです。以前、国分寺市議会として希望者に血中濃度検査を実施するよう東京都に意見書を提出しましたが、国には保険診療で体制づくりをすることを求める陳情者に賛同します。
また、陳情事項の二つ目は、市独自のPFASの血中濃度の検査体制をつくるよう求めるものです。現在、市内外でPFAS血中濃度の検査を実施している医療機関があるので、そこに補助金を付けることや、市内に血中濃度検査ができる医療機関を増やしていくことも含まれると考えます。
検査実施後の健康フォロー体制・検査に関しては、本陳情の調査で明らかになったように、岡山県吉備中央町のような先行自治体の取り組みを参考にして、基礎自治体の独自施策として継続的に実施することは十分可能だと考えます。
このような体制づくりにより、希望する市民が自分の体内にPFASがどのくらい蓄積されているかを知って、健康被害の予防に役立てることが重要だと考えます。
なお、本陳情は市議会で二年間にわたって継続審議となり、その間、市内外合わせて5,882人に昇る署名が集まりました。多くの市民がPFASに健康被害の実態を知りたいと願い、この陳情の採択を求めています。
市議会としてはこの陳情を重く受け止めなければならないと考えまして、この陳情に賛成といたします。
「有機フッ素化合物(PFAS)汚染の血液検査の実施を求める陳情」に関しましては、この間、丁寧な調査がなされ、様々議論されてきた経過につきまして、一定意味があったと思っております。
PFAS汚染を考え安心で住みやすい国分寺を創る会の皆様におかれましては、市民の不安に対して自ら動くという、その熱意と活動量、共に敬意を払うところでございます。
しかしながら、この陳情で要望されている血液検査は、一自治体で取り組める範疇を超えていると判断いたしまして、反対といたします。
自由民主党・国分寺は、引き続き市における井戸水と湧水の有機フッ素化合物の調査継続、そして、近隣市等との広域連携による協議を求めるとともに、都へは、健康影響及び環境に関する評価を市民へと分かりやすく示すことを要望してまいります。
以上でございます。
陳情第5-1号「有機フッ素化合物(PFAS)汚染の血液検査の実施を求める陳情」に賛成の立場で意見を述べます。
陳情事項としては、大きく二点ありまして、(1)国と都への意見書提出と、(2)国分寺市独自のPFAS血中濃度の検査体制をつくること、であります。
(1)の意見書提出につきましては、希望者が血液検査を受けられるようにするということについては、すでに東京都へ、議会で全会一致によって意見書が採択、提出されてはいるものの、(2)の市独自の血液検査体制をつくることについては、以下三点指摘をしたいと思います。
一点目、国と都の対応の問題点であります。
PFAS規制について海外ではどうなのかと言えば、PFASゼロが国際基準。米国やEUで趨勢となっております。これを言うのは、そもそもPFAS汚染による令和元年からの国分寺市内の井戸の取水停止は、米国の70ng/ℓへの健康勧告値変更に従って、国がPFOAとPFOSの合算で50ng/ℓに暫定目標値を変更することにしたがっての都水道局の措置だったからであります。であるならば、なぜ途中から海外の先進基準に従わなくなったのかが、率直に言って分かりません。
日本の中の米国。汚染源として疑われている米軍横田基地では、すでにPFOAとPFOSそれぞれ4ng/ℓという米国基準でやっているはずだと思料いたします。すなわち、PFASゼロ基準であります。
なぜ我々周辺住民が敢えて言えば遅れた基準にしたがっているのでしょうか?
国のPFASの許容摂取量、安全基準が作られる際にも、多くの科学的論文が採用されなかったという事実も批判されております。
専門家からは日本の規制値がそもそも高すぎるという批判がなされており、独自のエビデンスを作る努力を怠っているという批判もされております。
その意味でも、まずは実態を把握するという科学的な見地にたって、国や都が動かないのであれば市独自で検査体制を作るべきだと、考えます。
二点目、市民自治の観点であります。
水道を都に移管してしまったことで、市民から遠い存在になってしまってはいないかと懸念いたします。
今、都内では武蔵野市や昭島市等、4自治体が水道事業を独自に運営しています。国分寺市は、すでに都に移管しているわけでありますが、市は、国や都の動向を注視するとだけ繰り返されてきたと考えております。
PFASについては、当然のことながら、命と健康の問題について関心が強い市民が多く、このままでは政治不信が高まらないか懸念をいたします。
一方で、陳情の審査にあたった厚生文教委員会では、2年にわたり調査、情報収集を慎重に進めてきました。議会として一人ひとりの議員が真摯に取り組んできたのではないかと思います。
血中濃度と健康被害との関係については、公費で血液検査をおこなった岡山県吉備中央町は、結局まだ明らかになってはいないという立場のようではありますけれども、データを解析した岡山大学は、健康フォローの継続を市に提言しており、さらに解析を進めると言います。
国や都より先に、市民に最も近い身近な自治体としてできることをする、市民と共に作り上げるという姿勢が大事ではないでしょうか。
三点目、環境政策の観点であります。
歴史的に見ると、日本において環境問題は、トップダウンではなくて、現場、被害者や自治体からのボトムアップで進められてきたという特徴を持つと言います。
PFASについては、分からないから調査や検査をしない、調査や検査をしないからデータ、エビデンスが蓄積しない、根拠がないから対策しないという、ある専門家からは無責任の無限ループとさえ言われております。
日本は、急激な高度経済成長の陰の部分としまして、水俣病等、公害問題の先進国でもあります。
世界では、そうした教訓から環境問題における予防原則、疑わしきは罰する、すなわち専門的科学的見地が分かれたときには予防的に対処するという「リオ宣言」が国連で採択され確立しています。日本も批准しています。
市も同じ立場に立つと何度も表明されております。
PFASについては、欧米でも汚染が広がっており、それに対して予防原則の立場でトップダウン、国やEU等が主導しています。
一方で、PFAS規制のきっかけとなったのは米国で1つの訴訟によってPFAS排出企業を動かしたことであります。
一人ひとりの力は大きく、一つの自治体の動きも大きい、だから慎重になるという選択肢もあろうかとは思いますが、だからこそ一歩踏み出すという選択肢もあります。すでにPFAS血液検査を公費で行った吉備中央町、助成を行っている千葉県鎌ケ谷市の例もあります。すでに十分有力な選択肢の一つではないでしょうか。
最後に陳情者から改めて血液検査を求める切実な情報、声が寄せられたことも紹介したいと思います。健康被害をすでに受けているのではないかと懸念する声であります。
「PFASの血中濃度が高かったために医療機関で検診をうけたところ、(略)、甲状腺の異常が発見され治療を受けています。幸い早期に分かり、治療につながっていますが、市内には気づかれていない方もいるのではと、心配です」。
「高脂血症から脳梗塞になり、幸い後遺症もなく通常の生活を送っていますが、血液検査で血中濃度は基準の3倍もありました。もしもっと早くに血液検査をしていれば、高脂血症に気が付き脳梗塞を予防できたのではないかと悔やまれます」。
他にも、腎臓がんになり手術を受けることになった方が、後で血液検査をしたら、発生リスクが2、3倍になる血中濃度だったという証言も寄せられております。
もちろん、これら血中濃度と健康リスクとの関連は、明らかになってないというのが国や都の立場であることは、重々承知しています。
一方で、科学的見地が分かれる時には蓋然性が高いということで対処するのが環境対策における予防原則のはずであります。これまで繰り返し述べてまいりましたが、後で、データが揃って分かったとしても、健康被害は取り返しがつかないからであります。
以上、国や都の対策の不十分性、市民自治の観点、環境政策の観点、さらに問題の切迫性から、陳情への賛成を表明したいと思います。
陳情5-1号について、公明党を代表して不採択、反対の立場で討論いたします。
陳情事項では、PFASの血中濃度の測定実施と、検査を保険診療で受けられるよう国・都に意見書提出を求めること、また、国分寺市において市独自のPFAS血中濃度の検査体制を作っていただきたいとの趣旨の内容です。
「有機フッ素化合物に関する東京都の取組」、これは、9月時点でのQ&Aになるのですけれども、健康影響に関する血中濃度の基準については次のように示されています。
「国の専門家会議は、「現時点での知見では、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が個人に生じるかについては明らかになっていない。このため血中濃度に関する基準を定めることも、血液検査の結果のみをもって、健康影響を把握することも困難である。」と、しています」。
また、「血液検査をすると、PFOSやPFOAをどのくらい摂取したのかが分かりますか」との問いに対する回答では、「国の食品安全委員会が発表した健康影響評価書では、「ヒトにおけPFOS及びPFOAの体内動態については不確実な点が多いため、測定された血中濃度の結果から、PFASの摂取量やばく露量、時期、期間等を推測することは、現時点での知見では困難である。」と、しています」。
このような現状を踏まえ、今後もこの問題に関しては周辺自治体をはじめ、多摩26市で構成する「東京都市環境・公害事務連絡会」等と連携して、取り組むことが基本だと考えます。
従って、本陳情で求められる含意に沿うことは難しいと言わざるを得ません。
今後も住民の健康不安の声について、引き続き、適宜適切に、ていねいな情報発信等の取り組みを行いつつ、東京都等の関係機関との連携により対応を進めていただくことを求め、本陳情について不採択、反対とさせていただきます。以上です。
陳情第5-1号「有機フッ素化合物(PFAS)汚染の血液検査の実施を求める陳情」について、国分寺・生活者ネットワークを代表し、賛成の立場から討論をいたします。
PFAS問題は科学的な解明がまだ途上である一方で、市民にとっては現実の大きな不安として存在をしています。そのことは6,000筆にも上る署名数にも表れています。
2023年6月の報道によれば、市民団体による調査の結果、国分寺市民の代表的4種類合計PFASの血中濃度は、平均45ng/㎖とあり、多摩地域で最も高い水準と報じられ、市民に大きな衝撃が走りました。
米国で参照されている臨床上の指標値20ng/㎖を超える方が9割以上を占め、多くの市民が大きな不安を抱えており、こうした声を市議会として無視することは出来ないと考えます。
東京都は、2019年6月、三ヵ所の浄水場で高濃度の水源井戸から取水を停止し、濃度を下げたため、健康影響の恐れはないと、しています。
その後、取水停止した井戸は、年々増加し、報道によれば、これまでに44ヵ所にまで広がっています。
基準としている50ng/ℓは、70年のみ続けても安心とのことですが、停止する前に何年間も飲み続けてきた市民の健康影響については過去の摂取分も含めての判断となります。
東京都が検査の公開をしている2011年から高濃度であり、それ以前も含めて市民がPFAS高濃度の水を長期間飲んできた可能性は否定できません。
これまで本陳情の審査にあたり、厚生文教委員会では、自治体の検査受注を始めた病体生理研究所の資料や、岡山県吉備中央町の血液検査後のフォロー体制、岡山大学による血中濃度と疾病等の関係の解析等について、調査と結果の共有を重ねてきました。
この陳情が求めているのは、科学的に十分な結論が出るまで待つという姿勢ではなく、今不安を抱えている市民に寄り添い、現状を見える化して安心につなげる取り組みを始めてほしいという切実な要望です。
血中濃度の測定は、一人ひとりの状況を把握するきっかけとなり、そのうえで必要があれば、医師や専門機関と相談できる体制があることが、市民の安心を支える大きな力となります。
不安を抱える市民に対して何ができるか考え実施するのが行政の使命だと考えます。
国や東京都に制度整備を求めるとともに、市として独自に医師会や検査機関と連携し、市民が不安を一人で抱え込まなくてもよい仕組みをつくることは、この街に暮らす市民を大切に市政そのものです。
以上のことから、本陳情に賛成といたします。
無会派・日本維新の会、私、寺嶋たけしは、陳情5-1号「有機フッ素化合物(PFAS)汚染の血液検査の実施を求める陳情」に関して、不採択の立場で討論いたします。
まず始めに、5,000人以上の署名された方々の思いを真摯に受け止め、今後のPFASに関して、私自身、今以上に注視してまいりたいと考えております。そのうえで、本件を不採択とする理由でございますが、二点になります。
一点目は、本件を保険診療可能にするという件に関して。これは保険制度の目的から外れてしまうものになるためです。保険制度は、病気やけが等の治療をする際に、医療負担を軽減するものであり、健康診断をはじめとした治療を目的としていないものには該当しない点からも、適切ではないと考えております。
そして、二点目です。市独自のPFAS血中濃度検査体制を設けるといった点に関してですが、本件を実施するにあたって、現状では残念ながら課題があります。仮に一定の補助を設けるとした場合、億を超える支出が必要になることも考えられます。加えて、本件を実施したのち、木島議員もおっしゃられていたような状況であります。そのため、血中濃度が高い方への対応策、そして、その結果を踏まえた今後の分析に関する手法が残念ながら明確化していない。このような中で、これらを踏まえましても、本件を現在の国内の状況では市議会として責任を持って実施すべきと意思表明するのはまだ困難であると考えています。
反対理由は、以上になります。
しかしながら、本陳情が出された二年前から今日までで、PFASを取り巻く状況は刻々と変化してきているのも事実です。
国際がん研究機関IARC、こちらでは2023年12月にPFOAを人に対して発がん性があるとするグループ1に分類し、PFOSに関しては人に対して発がん性がある可能性があるとグループ2Bに分類しました。
世界的にこのPFASに関する問題意識がより一層高まってきている中、本国としてもこの流れに今後追随していくことは想定されます。
市議会としても本件に対しては引き続き、国分寺市の一つの大きな課題であるという点を念頭に置くべきであると考えながら、市としても今後の動向に注視しながら、国の対応方針が決まるなど、何らかの動きが発生した際に、迅速かつ適切に対応が取れるよう、日々研究や準備を進めていただくことを、この場をお借りして市へ強く要望させて頂き、討論を終わります。
陳情第5-1号「有機フッ素化合物(PFAS)汚染の血液検査の実施を求める陳情」について、採択の立場で討論いたします。
本陳情は、2023年8月に提出された陳情で、累計で5,883筆もの署名が寄せられるなど、非常に関心が強い陳情です。
2022年から23年にかけて市民団体が多摩地域の住民を対象に20自治体650人の検査を行いました。測定した4PFASにおける血液濃度の平均値が全体では20.6ng/㎖であったのに対して、国分寺市民の平均値は45.0ng/㎖と2倍以上も高く、さらに自治体ごとの検査人数では国分寺市民が一番多い人数でした。
人数が多いにも関わらず平均値が高いということは一番憂慮される自治体だということです。市民に不安が広がり血液検査を求めることは当然だと私は考えます。
2年にもわたる陳情審査で様々な調査が繰り返され、民間による血液検査の体制の確立、自治体による血液検査等、状況が大きく前進しています。
環境省の自治体向け手引きにも、PFOSまたはPFOAによる環境影響を明らかにするためには、疫学研究を行う上で血液検査を行うことも考えられるという記載が第2版で追記されました。
また、国分寺市内において、血液検査を受けた方を対象に、PFAS相談外来を既に設置している医療機関があります。アメリカアカデミーのガイドラインなどを参考にPFAS診断基準、PFAS診断手引きを作成し、PFASの健康リスクとして挙げられる、腎臓がんや甲状腺疾患等を念頭に検査を行い、必要があれば専門医に紹介する取り組みです。そして独自にPFASガイドブックを作成し、健康リスクや新たな曝露を避ける方法等を伝えることもしています。
こうした医療機関と協力すれば自治体としての血液検査も十分に可能です。検査費用を補助するということも考えられます。そのうえで疫学研究のための基礎データを、市民の実態を把握していく。こうした取り組みを今の段階で積極的に取り組んでいくことが、まさに予防原則の立場だと、私は考えます。
PFAS汚染は、明らかに新たな公害問題です。日本では公害問題において非常に取り組みが遅いと言わざるをえません。
過去には具体的な被害が顕在化しただけでは動かず、被害者を中心とした方たちが動いてようやく規制や対策を検討する、このような対応を繰り返しています。これは予防原則に基づいた対応ではありません。被害が出てから動くのでは遅すぎます。こうした過去の教訓に学んで、今すぐ対策に動くべきです。
特にPFASでは、固有の疾病が発症するわけではないために、健康被害としての表面化がしにくい特徴があります。積極的に疫学研究を進める必要があり、そのための血液検査は欠かせません。
血中濃度と健康被害との関連がはっきりしていないというのであれば、広く血液検査を行い、関連疾病等との関係を調べる疫学調査を広く実施しなければ、いつまでたっても健康リスクがわからないままです。
本来であれば、国がまっさきに行動するべき問題だと思いますが、国がなかなか動かない中で、そしてこうした陳情が提出されている中では、市としてできる限りの対策を講じるべきであり、民間と協力すれば、自治体としての血液検査の実施、その後の対応も十分可能だということを重ねて指摘をしまして、本陳情への討論を終わります。